強風で起きた屋根の被害を調査!

私たちKAPENは火災保険会社様から信頼をいただき、ご依頼を受けて台風や雪、地震、雹などの被害調査およびその修繕も行っております。

今日は普段どのような動きで私たちが対応しているのか一例を公開していきます。

 

さいたま市で強風被害にあわれたS様邸の被害調査

 

ステップ1 状況確認

日本では台風以外にも冬・春と強風が吹くことがあります。先日、KAPENに保険会社様より屋根被害状況確認のご依頼がありました。「屋根の棟板金が強風で剥がれたとのことで火災保険申請の話が出たので現場を見てきてほしい」とのこと。早速、時間を調整し、KAPEN社長の嘉数が現地へ行きました。2次被害の恐れが高かったので即日出動。当日はまばらに雨が降っていたのでドローンは使用せず、屋根上にあがることにしました。立地は陽当り風当たりがとても良い場所です。さて…屋根はどうなっているのだろうか?三階建てで梯子を掛けるのに苦労しましたが、雨がやんでいるうちに細心の注意を払いながら調査開始。

まずはご挨拶をして被害時のヒアリングと認知している被害箇所およびその状態を確認してから調査を始めます。いざ屋根上にあがってみると…屋根の棟板金が無くなっている…?。どこにあるんだ!!と探していたら、近隣の方から声をかけて頂きました。確認に行くと!ありました。敷地近くの貸駐車場へ落下していました。幸い駐車場内の車に傷もなく、けが人も出なかったのでまずは一安心でした。

 

屋根の状況

 

それでは屋根の状況を確認しましょう。

明らかに木材である貫板(ぬきいた)が腐ってますね。本来綺麗に棟の両サイドを2本の線路が通っているようにあるのですが、割れていたり、欠けていたりとなっています。長い時間棟板金が剥がれないように釘で固定してきました。寒暖差で貫板は木材ですので膨張と伸縮を繰り返し、その結果、釘と貫板に少しずつ隙間ができ、そこへ水が貫板がボロボロに劣化してしまったようです。抑えの釘が機能していないので、強風が舞うと屋根と棟板金との隙間に風が入りこみ、板金を浮かせたり、果てには剥がし飛ばせてしまったようです。

こうなる前にどうすべきか

どうしても釘の緩みや棟板金の浮きは新築時から修繕工事をしていなければ出てきてしまうものです。でもだからといって「仕方ない」で済んでしまってはプロを名乗れません。対策としては屋根塗装のメンテナンスをするときに釘浮きや釘の抜けを工事会社に確認してもらい、必要であればビスを増し打ちするなり、棟板金の継ぎ目にシーリングを打設するなりというような事前対策をすることがいいと思います。

※お客様の満足度を考えていたり、自社施工をしているような工事会社であれば通常、工事の際についでにこの辺りの処置をしてくれます。

 

 

ステップ2 保険会社様へ状況の報告と修繕の見積り

本件は明らかに棟板金が剥がれて飛んでしまった原因が強風にあることと当然に経年劣化により弱っていたことを詳しくまとめ報告書を提出しました。

修繕の見積りはあくまでも被害部分のみですので剥がれてしまった箇所かつそれに紐づいている箇所のみの内容となります。他の棟板金もやった方が良いですが、その部分はお客様の自費となるので今回は被害が出ていた部分だけの内容となります。

 

 

ステップ3 強風被害箇所の修繕工事

屋根の修理1回目

この建物は3階建です。形は長方形を縦にした凹凸のないタイプです。

足場を設置後、劣化した貫板を撤去し新しい貫板と取り替えます。

新しい棟板金を設置し釘で固定し完成です。

今回は保険で直すとのことでしたのでこの部分だけを直しました。

他の棟の部分も同様に劣化はしているため、危険である旨を伝え完了しました。

※写真は雨でぬれてしまっています。

 

その後のご様子…。

それから2か月程度経った後、また強風が吹いた日の後のことです。今度はお客様から直接のご連絡がありました。

「棟板金が剥がれた!」との事。えっ!!施工不良か??心配で慌てて現地へ。しっかりやっているので剥がれるわけがない!いくら先日の風が強風でも耐えられないわけない。尋常じゃないとか計測史上初と言うほどでもなかった。今回は晴れていたのでドローンで確認すると…..

 

1回目の工事をするときにお客様に伝えていたように他の箇所で棟板金が取れかかっていました。

当然劣化はしてしまっていたので厳しい言い方をすれば、予想していた事態です。ちなみに1回目に施工したのは写真右上の一列です。少し色が違いますよね。周辺の方々にも大変危険な状況なのですぐに工事日調整をし、2回目の修理を実施しました。

作業工程は1回目と同じく、

・足場組立

・既存棟板金取り外し、

・既存貫板撤去処分

・新規貫板設置

・棟板金再取付(外れた棟板金は変形してしまっていたのでその部分だけ新品に取り替えました)

※新築時は釘で取付されていることがほとんどですが、釘よりもビスの方が抜けにくいためリフォーム工事では本件同様にビスが使用されます。

 

 

このように剥がれてしまい変形した真ん中の棟板金だけ新しいものに取り換えまして完成となります。

やはり残る他2列も同じ被害が出る可能性はあるので気持ちとしては直したいところですが、無償で対応できる規模ではないので、釘が浮いているところなどは簡単に処置し、シーリングで頭を押さえておきましたが本的には何にも解決していないので、お客様には再度危ないことをお伝えし、完了しました。

最後に

住宅火災保険を使って直すと金銭的な負担(免責分がある方はその金額の支払いはあります)が軽減されます。棟板金などの役物や屋根本体、雨樋が落ちてしまうほどの場合、その前の強風ですでに変形・捲れがあった可能性があります。築年数が長い建物でまだ修理を行っていないのであれば、一度点検を屋根専門の工事会社にご依頼されてみてください。ここまで大きな被害が出る前に保険で直せることもあります。