外壁塗装の色選びで気を付けること

塗り替えるときの色選びで気を付けたいこと

業者側の色選びの本音

外壁塗装をする時に皆さんが一番楽しみにするのが「今度はわが家をどんな色にしようか?」という事かなと思います。
中にはあまり色には拘りなくて、今と同じ感じでとか周りの家から浮かないように無難な感じでってという方もいらっしゃいますが
やっぱり塗装屋さんとしては「ねぇねぇこここんな感じの方がいいんじゃない!?」ってご夫婦でわくわくしてるのを見るのは嬉しいものです。
ここからまた10年、あるいはそれ以上付き合っていく色になるので失敗してほしくないなあといつも思います。
工事が終わった時に「この色いいね!」って言ってもらえるとやっぱり他では味わえない達成感のようなものがあります。
また、自分の家では10年に1度程度の外壁塗装ですが仕事でやっていると、お客様の数だけその現場に立ち会える事になるので、密かに楽しみでもあります。
ですが良い事ばかりでもなくて、個人的には「どんな色でも同じなので、好みの色選んで下さい!」って言いたいけど言えないんです・・・

 

色によっては金額が変わる!?

というのはまず、塗料は種類に依らずどんな物でも「標準色」というのがあります。それ以外の色を選ぶには日塗工という資料短冊があり、その色データから選ぶんですが、この時に「調色」と言って色を作るわけですが想像の通りこの調色というのは基本的に有料なのです。
問題はそれだけじゃなくて、有料でも好きな色が選べるならっていう方に良くないお知らせもあって、この「調色」自体が出来ない塗料もあるのです。
つまり基本色の中で選ばないといけない。という言い方をするとメーカーの方に怒られてしまいそうですが(苦笑)

 

色で効果が増減する遮熱塗料

これはこれで一つのお話なのですが、また別角度でも色の選択肢の残念なお話があるんです。
それは最近流行りの「遮熱塗料」について。
遮熱塗料って一言に言っても同じ種類の塗料でも遮熱性能が違うです、色に依って。
これはイメージしやすい事かもしれませんが、色によって反射率が違うわけですね。
基本的に白に近い色程反射率は高く黒に近いほど低いわけです。
反射率が色によって4~50%程度の物から90%近いような極端な差が出る物も塗料によってはあるようです。
数字でこれだけ差が見えるとさすがに好みだけで選ぶのは・・・って気持ちにもなってしまいますよね。
反射率って?って方も当然おられると思いますが今回は遮熱のお話ではないのでそれについてはまた遮熱の記事の時に。

 

色が性能を左右することも

そしてこれって結構色を選びにくくなってしまいそうですが大事な事もあります。
さっきの「好みで選んで下さい!」を言いにくい一番の理由かもしれません。
というのは、色によって経年で色ムラや色あせが出やすい色がある、という事なんです。
見た目の鮮やかさっていうのは私も好きなので濃い色とかは個人的には「あ、いいんじゃないですか!?」って一瞬思っちゃうんですが、実はそういう濃かったり鮮やかだったりな色というのはあまりオススメはできないのです。
というのは、青や紺とか深い緑、赤やピンクといった色味の強く出る色というのは塗った直後は大変綺麗なんですが、色飛びが早くて数年で色あせが始まってしまうなんていう事も実は珍しくないのです。
特に色飛びが言われるのが赤味の入った色で、ピンク等もこれに含まれます。
塗膜の防水性能は維持されていても、色味の方は正直色に依ってなので飛びやすい色はそれだけで劣化したように見えてしまいますよね。
見た目の鮮やかさというのはこうした色ではなかなか維持が難しいのです。

 

色見本と塗った後は色の見え方が違う

なんだかここまでネガティブな話ばかりをしてしまいましたが、色選びはなんだかんだやっぱり楽しいものです。
全くのイメージ通りというのはなかなか難しい話なんですがイメージに近づけるコツみたいなものはあって、色見本で見た時にイメージした色より1~2つ濃い色を選んでもらうとだいぶ近い感じになると思います。
というのは外壁の色というのは実際に塗った時に1~2トーン明るく見えるからなのです。これは別に薄めて塗ったりしているわけじゃないんですが塗り広がった時に太陽光の影響だったりして明るく見えるのです。
分かりやすい例で言うと、パソコンのメモ帳みたいな背景が白い画面で色付きの文字を打ってみるとイメージしやすいと思います。
例えば茶色で打ちたい時に茶色を選ぶと、実際に打ってみた時に色選びの時に見える色よりだいぶ明るく見えにくくなっているという感じです。

少しでもイメージの差をなくすためには?

色選びする時には出来るだけ「晴れた日の当たる時に一番日の当たる面で色見本と見比べる」という事を考えておくと良いと思います。
出来るだけ避けて頂きたいのは「室内の蛍光灯の光を頼りに選ぶ事」なのです。蛍光灯の光では自然の太陽光より色味が若干強く見えてしまい、明るい色を選んでしまいがちに
なってしまいます。

 

というように、一概に「色を選ぶ」と言っても色々と気を付けたい点というのは案外多くあるのだという事を知っていただいて損はないかなと思います。
こうした事を知っていると工事契約を決めてから実際に色を発注するまでの短い間に決める時にもよりイメージに近づけるとか期待する遮熱性能、等々を踏まえて色選びが出来るのでぜひ参考にして下さい。

 

塗装色の系統によるイメージ

さて、ここまで色を選ぶ時に気を付けたい事を書いてきましたが、実は私たちが実際にお客様とそういった打ち合わせをする時に意外とあるのが「色の選び方が分からない」という方が結構おられるのです。
なるほど、確かに難しい事なので迷ってしまうというのも分かります。どんな色がいいのかなってなってしまうとなかなか決められないですよね。
これでばっちりです!なんていう魔法の回答は勿論無いんですが、どんなバランスの印象になるかというのはある程度傾向的な事はお話できると思います。
例えば1階と2階で色を変えたいんだけどどんな感じにしたらいいかな?というような時には出来れば1階の色は2階の色より濃い目の色にすると安定感のある印象にはなってくると思います。2階の色の方が濃かったりすると少し頭が重い感じになりますよね。
逆にそれがいいんだという方もいるのは確かなので一概には言えませんが。


次に壁の色はベージュ等の落ち着いた色合いがいいけどその他の部分が決められないなんていう場合。
外壁がそういった白に近かったり黄色味かかったクリーム系だったりという時は、例えば屋根や雨樋、霧除など小屋根の部分をチョコや黒というコントラストのはっきりした色にすると家全体が引き締まってカッコよく見えてきたりします。
逆に外壁がそうした色で霧除や雨樋を白や明るいグレー等にしてしまうと全体の色調が同じような感じになってしまってふんわりしたイメージで家が軽くなってしまったような印象にも見えてきてしまったりします。


「さっき濃い色は難しいって言ったじゃん」・・・仰る通りではあるのですが、これは見え方の違いというか、屋根などは黒系の色でも重さを感じにくい傾向があります。
実際に黒で塗っても下から見上げると日中は日が当たるので光が白く反射して見えるので真っ黒にはならないというか。
何より黒や濃いグレーの屋根は重さを感じず引き締まってカッコよく見えるから不思議です。


また、ベランダの下等の軒天は出来るだけ白系にする方が家が明るく見えます。
ここを濃い色にしてしまうと落ちる影も暗くなり、家全体が暗いイメージに傾いてしまいます。
破風板を黒にするのもカッコいいんですがその場合でも軒は白い方が家が暗く沈まないと言えます。

というように、「どんな色を選べばおかしくないか」よりも「どの色を選ばなければおかしくならないか」を考えるようにするとご自身で色を選びやすくなって
くるのかなあと思います。

 

塗料の豆知識:樹脂によって色の綺麗さが異なる

また、これはちょっと別の部分の話にもなってしまうかもしれませんが豆知識として一つ。
外壁塗装の時には塗料のグレードとしてあまり選ばれる事の少ないアクリルやウレタン。耐用年数からのコストパフォーマンスが低くなってしまうため外壁塗装には
確かにオススメしにくいのですがこれらの塗料はシリコンやフッ素にはないメリットもあるのです。
というのは、ズバリ発色の良さ。色の綺麗さに関してはシリコンやフッ素を凌ぐ良さを持っています。
さっきもお話した通りで外壁には使いにくいのですが、実は自作の椅子だったりとかのちょっとした小物の塗装のような「すぐに塗り替えてもいいような物」には
ローコストな事もあってオススメできる塗料になるのです。
綺麗な色が出るので、気分によって短期間で塗り替えたりなんて事も逆に楽しみの一つになりますよね。
特に屋内で使うような物は紫外線も当たらないので色飛びもしにくく、綺麗な色が維持できるのでオススメです。
ただ、ウレタンは柔らかい塗料なのですがアクリルは硬い塗料なので何かを乗せたりすると割れやすいのでその点はご注意を。

さて、今回は色選びの仕方のお話をしました。言わば工事をする事が決まってからのお話でしたので、次回はもっと手前の「家の傷みってどういうもの?何がいけないの?」