【外壁塗装のなぜなぜ】疑問を解説します!

なぜ外壁塗装を定期的にする必要があるのか

なぜなぜシリーズ今回はなぜ10年位で外壁塗装するのか(するのがいいのか)?という事をお話していきます。
建物が築10年を迎える頃になると訪問業者が塗装しないとダメですよって来たり、あっちこっちに新築時には無かった汚れや色ムラ等が出てくるようになり、北面等のあまり日の当たらない場所では緑色にコケびっしりになってきたり。
段々、メンテナンスしないといけないかなって思うようになる事が増えてくる事と思います。

 

外壁塗装の一番の目的は防水能力の維持

そこでなぜ外壁塗装をするの?という所からになりますが、外壁塗装の目的は第一に建物の防水能力を維持する事です。
一戸建ては木造住宅が殆どですが、建物の骨組みは木の柱という事ですね。
木というのは水を吸うと腐っていってしまいます。
要するに雨水等からこの柱の木を守るという事なのです。
住宅に限らず大きな商業施設やビル等も同じで、基本的に建築物というのは外からの水を防ぐ事はきちんとされていますがそこより中というのはほぼほぼ無防備なのです。
誤解しやすいのですが、外壁で止めきれず入ってしまった水が柱に到達しないようにあの手この手を講じてあるわけではないという意味です。
防水紙あるじゃん、と思われるかもしれませんが、その頼みの防水紙も水が入ってしまった壁の内側では写真のようになってしまっているのです。

 

木が腐る要因は水だった

ではなぜ木が水を吸うと腐るのか。木が腐るのは自然現象ではなく、腐朽菌という細菌が原因で木は腐っていきます。
この腐朽菌が増える事で腐っていくわけですが、その要因が4つあり、そのうち3つは自然の状態で既に揃ってしまっています。


「空気」「気温」「養分」「水」


この4つが揃うと腐朽菌が増えるのですが、水以外の物はもともとそこにありますよね。
養分というのはつまり木自体がエサになっているという事なのです。
気温も人間と同じく常温が増殖に丁度良いので、これもそろっているわけです。
となると、残りの一つの水があれば木は腐っていくのです。水を入れない事がいかに重要かお分かり頂けると思います。
ちなみに完全に水没した木が腐らないのは空気が無くて腐朽菌が活動出来ないからという事ですね。

※生きている木々が腐らないのは人間と同じで免疫力が働いているので腐らずに成長しているわけです。

 

新築時に高耐久塗料が使われていないのはなぜか

ではさっきのところに戻ると防水のために塗装をするわけですが、高耐久塗料とかもあるのにどうして新築時にそれをしておいてくれないんだろう、と思われる方もいるかもしれません。
なるほど確かに新築時に耐候年数の長い塗料でやっておけば10年程度で塗装なんて考えなくてもいいじゃないかとなるというのも自然な考えかもしれませんが、なかなかそれも難しい話なのです。

というのは、特に建売等に多いのですが「最近の家ってあっという間に建つよな・・・」って分譲地の建築を見たりで思った事はないでしょうか。
基礎が出来上がるとそこから骨組みや壁があっという間に出来ていきますよね。そうなんです。早いんです。
製材された柱は水分が残っています。本来望ましいのはその水分を飛ばした乾燥した柱なのですが、製材後それまで倉庫に置いておくというのも難しい話なのです。
つまり、建築に使われる柱はどうしても水分を残したまま使われるという事になるので、それを乾かすためには壁の内側でも空気が動けるようにしていないと揮発しようとする水分がどこへも逃げられず、いつまでたっても乾燥しない事になってしまいます。
なので、新築時にがっちりした外壁塗装をしてしまうとその状況を作ってしまいますのである程度空気(湿気)を逃がすために外壁が呼吸できる必要があるのです。
そうした意味から新築時は適度な防水力を持たせただけの、極端な言い方をすれば防水のための塗装ではなくお化粧程度のうっすらした塗装になっているのです。

7~8年を過ぎたあたりから家の中で「ぱきっ」とか「ピシッ」という音を聞いたことがある方もいると思いますがこれは心霊現象等ではなく柱等の木材が十分乾燥した時に割れる音なのです。

え、割れちゃうの?って心配になるかもしれませんが、ここは安心して下さい。
神社仏閣の大きな柱とかも見てわかるように木は割れる物であり、また割れる事で強度が上がるのです。
割れた方が強いの?と思うかもしれませんが、木材の乾燥が進んでの結果割れたのであればそれは自然な事なのです。
詳しい原理はここでは省きますが、そういうものなんだと思って頂いて、気になる方はネットにも情報が沢山あるのでお調べいただければと思います。

話が脱線しましたが、つまりは家に使われている材木が乾燥する事は強度の面でも望ましく、逆に水分が大敵なのはさっきの腐食の話でも分かる通りなのです。
新築時に水分を残した柱などは、建てられた後も呼吸して乾燥が進んでいきます。
この水分が抜けて割れるくらいに乾くのが大体新築から7~8年前後から10年程度なのです。
家が一番乾いて強度が高くなるこの時期に柱等の呼吸の必要性が下がり、せっかく乾いた材木がまた水分に曝される事がないよう今度はきちんとした防水目的のための塗装をするというわけです。
この位の時期が新築時の防水性能が役割を終えて雨などに対しての防御力が失われると雨が降る度にはもちろん、夜露等でも外壁や屋根がどんどん水分を建物に吸い込んでしまうという事になります。
その結果どうなっていくかというのは言うまでもないのかなという所ですね。
つまり10年位で塗装するのがいいって言われるのは10年で家が傷んでくるっていう事もありますが、こんな大事な理由もあるのでその時期に一度塗装(メンテナンス)するといいんですね。
実際、10年前後で塗装をするのと15年経ってから塗装するのでは、全く同じ塗装をしてもその後のもち方が全然違います。
その差のお話はまた別の機会に。

 

最後に

大事な事なので何度も書いてしまいますが、外壁屋根の塗装の一番の目的は建物に防水能力を持たせて維持する事です。
綺麗になる、好きな色に変えられるというのも勿論大きな理由の一つだとは思いますが。
その防水性能というのは塗料を構成する「樹脂分」というところに依ります。
今回は塗装の目的のお話なので、樹脂分のお話はまた別の機会にしようと思います。

最後に一つ。私達も時々こんなお話を聞く事もあるのですが「雨漏りしたら(塗装)やるよ」という方がたまにおられます。
ですが、雨漏りしてからでは完全な手遅れです。雨漏りは外壁塗装したからといって治る物ではありません。
塗装は修繕工事ではないので・・・雨漏りしたらやるのではなく、雨漏りさせないためにする「保全工事」なんです。
予防接種みたいなものですね。雨漏りしてしまったらまず雨漏りの原因を突き止めて、それを解決する工事が必要であり解決したら再発しないために塗装をする、という順番になるんです。
雨漏りしないうちに塗装しておけば雨漏り修繕自体がいらないので、また「早い方がいいんでしょ」ってところに繋がるわけなのですが・・・

それでは今回はこの辺で。次回はさっきの続きで「樹脂分の違い」のお話にしようかと思います。