遮熱塗料の効果とデメリット

遮熱塗料の効果とデメリット

2020年東京オリンピック開催前の準備でこの遮熱塗料について報道がされていたのを覚えていますか?マラソン・競歩などのコースに選手の暑さ対策に使われました。実際は都心のヒートアイランド問題ではもっと前から使われていました。一般的のお客様が良く聞くことが増えたのは2020年のオリンピックの頃だとおもいます。

遮熱塗料は太陽の光を反射して室温上昇を防ぐことで、冷暖房の効きを良くすることで省エネ効果が期待できるとされている塗料です。

ネット内では「遮熱・断熱効果なし」とコメントされていることがあります。

さて、実際はどうでしょうか?

そこで遮熱塗料の効果やデメリットなどについて紹介していきます。

 

塗料の基礎知識

まず、塗装を行う時は、屋根材に下塗りをしてから中塗りと上塗りの3回塗ることが一般的です。そこを踏まえて下記の断熱・遮熱塗料の説明を見てください。

 

熱を抑える塗料とは?

熱を抑える塗料は断熱塗料遮熱塗料があります。効果はそれほど差はありませんが、建物内の熱を抑えるプロセスが少々違います。

 

断熱塗料は

文字通り熱を断つ方法で熱を遮断します。塗料に熱伝導を抑える機能がある塗料で、断熱材のような役割をします。太陽光の熱が外壁や屋根などから室内に伝わるのを防ぐ事ができるため、室温上昇を抑えることができる塗料で塗料自体が断熱材となるので、室内の温度を外に逃がさない効果もあります。防音効果もあると言われることがありますが、塗料の厚みは1mm以下と通常の断熱材と比べて遥かに薄いので効果が体感できるほどかは不確かです。

 

遮熱塗料は

塗料自体が熱と光を反射させる塗料です。ここでいう光とは太陽光です。太陽光を反射させ、表面にある熱をも放熱します。太陽光の中でも近赤外線と呼ばれる生物が熱を感じる光を反射する機能を持っています。この太陽光から発せられる影響を及ぼす光が、「紫外線」「可視光線」「赤外線」です。その中でも「赤外線」は温度に関する部分です。

真夏の晴天で外気温が高いと室内温度は高温になります。その時の外壁や屋根は高温で触るとやけどする温度になっています。その熱が室温をあげてしまいます。

参考記事: 遮熱塗装実験第2弾 ~器具を使って確認~

 

赤外線の種類

 

赤外線には、電磁波の波長によって 3種類に分けられます。
これらのメリット・デメリットを以下に示します。
(赤外線の分類は、国際的な基準・国内の業界などで少し異なっており、以下の分類は参考となります。)

近赤外線とは?

波長がおおよそ 0.7~2.5um の範囲の赤外線で、赤外線の中でも最も可視光の “赤色” に近い特性を持っています。暖房効果は、赤外線の中では最も低いです。携帯や家電のリモコンの赤外線通信などに利用されています。

中赤外線とは?

波長がおおよそ 2.5~4um の範囲の赤外線で、近赤外線と遠赤外線の両方の特性を持っています。

遠赤外線とは?

波長がおおよそ 4~1,000um の範囲の赤外線で、可視光線からは最も “遠い” 特性を持ちます。暖房効果は赤外線の中で最も高く、遠赤外線ストーブなどの暖房機やオーブントースターなどに利用されています。

 

遮熱塗料と断熱塗料の価格

遮熱塗料と断熱塗料では同じ条件の面積を塗装した場合の価格は断熱塗料が価格は高くなります。その理由は遮熱塗料が約0.1㎜の厚さで塗装するのに対し断熱塗料は約0.3㎜と3倍になるからです。断熱と防音を希望されるのであれば、屋根に関してはカバー工法の方が断然効果があります。築年数が浅い物でしたら、天井自体に断熱対策がしてあることもあるので遮熱塗料でより効果は期待できます。今までの経験とお客様のご希望、建物の状況をみてKAPENでは提案させて頂いています。

遮熱塗料について

1.耐用年数と種類によって効果が違う

一般的に遮熱塗料は素材によって様々な種類があります。

アクリル系・ウレタン系・シリコン系・フッ素など様々な種類があります。メーカーや種類によってメリット・デメリットや耐用年数は違います。

耐用年数内は効果がありますが、対応年数間際に近ずくと効果が下がってきます。その為、対応年数に近づく頃に塗り直しを行う必要があります。

2.遮熱効果が低い??

一般的な遮熱塗料の輻射熱は反射率が60~80%前後といわれています。KAPENで使っている遮熱塗料は白に近い薄い色の場合86.8%となっています。反射率の低い色で67.5%となっています。このように色の差で19.3%も効果が違います。

3.断熱効果がない

遮熱塗料は輻射熱を反射させる塗料であり、熱伝導を抑える働きを持つ断熱効果はありません。そもそも赤外線を跳ね返すことで熱を屋根や外壁に貯めさせない塗料です。断熱を目的にしていないので断熱効果を求めるのであれば他の選択肢をおススメしています。

4.塗り直しが必要である

遮熱塗料は、通常の塗料と比較して遮熱という機能性が付加されているため、普通の塗料より多少価格はお高めです。一般的に塗装を行う際には、塗料費用だけでなく足場の組み立て、解体費用、下地補修費用、下地費用など諸経費なども掛かります。KAPENでは見積もりをお渡しする時にお客様へ丁寧にご説明すると共に、不安点など話をしっかり聞かせて頂いています。

5.塗料として扱いにくい

遮熱塗料は塗装職人の中では、「塗りにくい塗料」ということを聞きます。塗料は均一にムラなく塗ることで効果を最大限発揮します。そのため、遮熱塗料の施工をする場合には、専門の知識や技術力の高い職人がいること、施工前・施工中だけでなく、施工後も連絡の取れる業者を選びましょう。とネットなどで書かれています。実際にKAPENの職人から話を聞くと、遮熱塗料でも防水塗料でも、ムラなく塗装するのは当たり前。同じように丁寧にそれぞれの塗料の特性を考慮して行うので安心してくださいとのことでした。

 

こんな方におすすめ!遮熱塗料

■夏場の室温を2~3℃下げたい

遮熱塗料は塗装面の温度が上昇しないので室温を環境によって差はありますが、2~3℃程度下げる効果があると言われています。また、室温が下がると、エアコンの電力消費を抑えるので、省エネにも繋がります。KAPENで施工した大きな工場では遮熱塗装をした夏の電気代は100万円以上安くなったと話を聞くことができました。住宅でも3000~5000円、夏の7、8、9月電気代が下がったと皆さんからお話が聞けました。

参考記事: 遮熱塗装実験 第1弾 ~東京オリンピックの道路~

 

■最上階の温度を下げたい

建物の最上階は日差しが良く屋根から近いので1階に比べて温度が高くなります。そのため、屋根と外壁に遮熱塗料を施工することで、室内温度差が少なくなるようになります。夜になり日差しがなくなった後のエアコンの効きが良くなったと話がありました。

■金属屋根の家

金属屋根は遮熱塗料の効果がより発揮されます。他の屋根材と比べて熱伝導率が良く熱くなりやすいです。遮熱

■吹き抜けがある家

天井が吹き抜けのある建物は、夏に冷房を使うと熱い空気は上に集まります。その為、2階は熱く1階の床付近に冷気が集まり、足元が冷たいということが起きます。遮熱塗料を使うと共に室内の空気が循環するようにファンなどを付けるといいでしょう。

まとめ

建物のタイプ・立地とお客様の求めている内容によって、遮熱塗料が効果を発揮する場合と発揮しない場合があります。どのように塗装を行うか?どのような材質を選ぶか?そんな知識と技術が必要です。

塗装業界は他業界より各業者間で知識の差が大きいです。近年、ネットや大型ホームセンターなど素人でも道具や塗料などを購入することが簡単になりました。専門の学校などもなく知識を得る場は各メーカーの講習会になります。KAPENでは新商品やリニューアル商品ができたときに取引メーカーのみではなく、多くの情報を得る努力を、私、嘉数を筆頭に社員と共に日々学んでいます。お客様の大切な建物と生活を知識と技術力で守りたいと考えています。一般塗料や遮熱塗料など日進月歩で進化しています。

ぜひ、安心してご相談ください。