家を守る雨樋とは?その役割から修理時のポイントまでご紹介!

雨樋とは? (用語集のこちらも合わせてご確認ください)

雨樋ってご存知ですか?

屋根の雨を集め、雨水桝などに流すためのものです。なぜ雨樋が必要なのでしょうか?そして雨樋はいつ、なぜ出来たのでしょう。雨樋のそんな疑問から皆さんの家を考えてみませんか?

 

雨樋は平安時代後期に作られた歴史物語「大鏡」の中の〈花山院家造り〉の一節「あわいに“ひ”をかけて涼し」という文章で残る最古の物とのこと。平安時代の文章で残っているのですからその頃にはすでに使われていたのでしょう。今と同じように雨水を建物から離れたところに捨てるための物だったのでしょうか?

真水は大切なものです

それは昔の日本でも同じでした。今みたいに簡単に水はでませんが、日本には恵の雨がありました。屋根から落ちる水を当時は飲料水や生活用水として使うためにできたのが雨樋の始まりの様ですが、一般家庭にはこの時代はまだありませんでした。今も畑や庭やダストボックスの掃除用の水を雨を集めて利用している方がいます。

昔の防火用水について

江戸時代は街がどんどん大きくなり、人口がどんどん増えた時代とも言われています。その時代は木造住宅だった事、炊事の時や暖を取るときに炭や薪を使っていました。そして現在同様乾燥する時期は火事が多く発生し問題となっていました。一部の屋敷は瓦屋根になり、その雨水を雨樋を使って天水桶(防火曹)に溜めていたと書いてある資料があります。

そうそう!東海道五十三次の浮世絵には天水桶が載っています。1980年代にTVでやっていた松平健さんの暴れん坊将軍には防火水槽がセットの中によく出ていました。(シニア世代は当時TVを見ていたと思います。)このように私たちの国では昔から雨樋は必要だったのです。

では、現在はどうでしょうか?先ほども書きましたが、雨水の有効利用をするうえで大切なものは雨樋です。有効利用しなくても雨樋は必要です。湿気、雨から家を守るためです。

もし、雨樋がなく屋根からそのまま雨が落ちたら、湿気の多い日本では家の土台や壁がいつも湿気ってカビや苔が発生し腐る原因になります。雨樋を使わずに家を守るには軒先を長くし、家を支える柱の下には大きな石やコンクリート引いて湿気や雨を家にいかないようします。歴史のある古い寺院には今もまだそういった造りをそのまま残しています。

歴史から見る雨樋というのも面白いですね。そして使用方法は変わっても今も雨樋は健在です。

 

最近の雨樋の種類はどんなものがあるのでしょう。

また皆さんのお宅はどのタイプですか?

半円タイプの管 これは多くのお宅で使われています。外に出てみてみると築年数が少し経っている家はほとんどがこのタイプです。

角型タイプ これはコの字型をしています。半円型に比べて流水量がより多く確保できるため、最近では主流の形状になりつつあります。ゲリラ豪雨対策です。特殊型タイプ、雪の多いところで使われます。

雨樋がないという家もあると思います。雪の多い地域や山が近く年中雨樋が落ち葉などで詰まるなどでつけない場合もあります。

 

材質の種類

塩化ビニールは 軽い素材で安価ですが、耐久性に乏しく日光や紫外線や雨風寒暖差に長年さらされると壊れやすくなります。塩ビ管の雨樋に塗装を行うのは日光や紫外線や雨風寒暖差から劣化を遅らせる為です。
合成樹脂は 樹脂表面に劣化と紫外線から雨樋を保護するコーティングがしてあるので耐久性には優れています。デザイン性も耐久性も塩化ビニールより良いのですが、その分少しだけ高価です。
ガルバリウム鋼板は 耐久性があり加工しやすく錆びにくいというメリットがあります。金属素材として人気の商品です。値段は金属としては少々お安めです。
アルミニウムは継ぎ目がない製品を作れるので詰まりなどが大変少ないというメリットがあります。また錆びもなく、反り・たわみ等も起こりにくいです。しかし流通量が少ない上、現在は金属の価格が高騰しているので高価です。
ステンレスは アルミ同様、錆びず耐久性が高いです。アルミよりも価格が高価です。
銅は 神社の屋根の雨樋に使われていることが多いです。耐久性も良く、酸化すると緑青色に変色し味が出ますが、価格は高いです。
黄金の桶もあります。織田信長が寄進した、黄金の樋が京都府の石清水八幡宮にあります。金の価格が高すぎて雨樋にすることはないと思います。

時代背景などによりデザイン、形、材質など様々です。

 

雨樋は適切に設置されていますか?

雨樋は傾斜などを計算して設置することで雨から家を守っています。何らかの事情で家側に傾いたりしていると、雨樋を設置するために固定する「鼻隠し」が腐ってしまったり、「鼻隠し」から壁に雨が入り雨漏りをしたり、外壁を劣化させてしまい、本来使用できる年数まで使えなくなります。また、外側に傾いているとそこから下へ雨水が落ちて土台(基礎)のコンクリートが濡れたり、地面を削ってしまうようなことが起こります。短期的ならいいのですが、これが数年続くと大きな被害になってしまうので、早期に発見し修理を行うことが大切です。

雨樋が漏っているか確認は?

大雨の日に庭に雨の落ちた後が地面に線のようになって残っているか探してみてください。もしあれば雨樋が機能していないことが多いです。きっと流れを堰き止めているものがあると思いますので掃除を依頼してください。秋の台風後、雨樋を詰まらせたものに蝉の死骸が何匹もあったり、枯れ葉が詰まっていたりした事例があります。
そうでない場合は雨樋が歪んでしまっていたり、割れてしまっている可能性があります。

雨樋の耐用年数は?

製品により違います。塩化ビニールの製品ですと一般的に20年前後と言われていますが、15年を過ぎてくると雹や庭木が風で樋にあたったりすると壊れることがあります。経年劣化による外的要因が原因です。雨樋の種類と材質などで保全・修繕方法、交換など無料点検などを頼んで確認してもらうと安心です。

どんな時に壊れやすいか?

雪が積もった後に屋根を滑り落ちて来るときや、台風などの強風後は壊れていることが多いです。激しい突風や積雪で破損した雨樋は、火災保険で修理費用を賄えることがありますので、修理する前に入っている火災保険の約款を確認してみましょう。

台風の後などで壊れていても気が付かず放置していて、しばらくして雨漏りが起きたり、時には壊れた穴から蜂や野生動物などが巣を作ったりすることもあります。大きな台風や強風や雪のあとは点検を行うといいと思います。

 

KAPENからのお知らせ

雨樋の無料点検を行っております。11月~春頃までは晴れ日が多く乾燥しています。その為作業しやすいので、ぜひこの時期にご連絡下さい。 お待ちしています